BC州首相がアルバータ州のBCワインボイコットに言及

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ブリティッシュ・コロンビア(BC)州とアルバータ州で勃発したトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を巡る抗争で、アルバータ州政府レイチェル・ノッテリー州首相がBC州産ワインの購入を停止するとした件に対し、BC州政府ジョン・ホーガン州首相が記者会見で言及した。

ホーガン州首相はオイルサンド輸送に関する環境査定強化の検討を撤回するつもりはないと改めて強調し、BC州民が危惧している問題を州民のために実行するのは州政府の責任との主張を繰り返した。

その報復措置としてノッテリー州首相がBC州産ワインをボイコットしたことについて、アルバータ州が購入しなくてもBC州の素晴らしいワインは世界で評価されている、歴訪を終えた中国や日本でも喜ばれたし、オンタリオ州などでも人気が高いとして他に市場はいくらでも開拓できると心配した様子は見せなかった。

また、アルバータ州政府の報復に対して、アルバータ州の牛肉を購入しないという対抗措置は取らないのかとの質問に、「BC州は対抗措置を取るつもりはない」と明言した。

ホーガン州首相は、アルバータ州の発表にいちいち反応するつもりはないと語り、「NDP政権はBC州のために問題を解決する政策を実行していくことが優先で、アルバータ州との問題に邪魔されるわけにはいかない」とこの問題にいちいち対応しないとの姿勢を示した。

BC州は今月13日に議会が再開する。野党自由党はウィルキンソン新党首に決定し議会での対決に準備している。BC州NDP政権は与党とはいえ、議席数では自由党より少ない。3議席のグリーン党との協力合意の下で政権を運営しているという危うい土壌に立っている。

14日にはケローナ地区での補欠選挙、20日には政権交代後初、NDP政権としては17年ぶりの予算案の発表が控えている。

 

トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を巡る抗争

アルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市まで、現存するパイプラインを拡張するための工事計画。連邦保守党政権時代からの案件で、BC州では当初から環境活動団体、先住民族、州民、バンクーバー市やバーナビー市などの強い反対があった。

しかし2015年に政権交代した自由党政権がそれを押し切り2016年11月に承認。続いて、BC州前自由党政権が承認した。

その後、2017年5月のBC州選挙で自由党が過半数を割り、さらに野党2党からの不信任が可決され、7月にNDP政権が誕生。同パイプライン計画をあらゆる手段を使って停止すると公約していたNDPが工事計画反対のグリーン党に協力を求めて政権が誕生したため、拡張工事を遅らせる手段を講じている。

連邦自由党政権は、パイプライン工事は確実に行われると明言しているが、今のところ、BC州の動きを止める現実的な手段は取っていない。またアルバータ州政府のBC州ワイン産業攻撃を止めさせる言動も取っていない。パイプライン建設計画については連邦政府の管轄としながらも、それを巡る州政府間の抗争には介入しない姿勢を取っている。

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