BC州最低時給を2021年までに15.20ドルに

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ブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン州首相が同州の最低時給を2021年に15.20ドルまで引き上げると発表した。

現在の最低時給は11.35ドル。これを今年6月1日に1.30ドル引き上げ12.65ドルへ、2019年には1.20ドル引き上げ13.85ドル、2020年には0.75ドルの引き上げで14.60ドル、そして2021年には0.75ドル引き上げて15.20ドルとする。

ホーガン州首相はノースバンクーバー市で会見し、「これはもうとっくに実現していなくてはいけない問題」と語り、ブリティッシュ・コロンビア州がオンタリオ州、ケベック州、アルバータ州と最低時給で同じレベルでなければおかしいと説明した。

現在、BC州より最低時給が高いのはオンタリオ州、ケベック州、ヌナブト準州、ノースウエスト準州の4州のみ。

ケベック州は今年5月1日に12ドルに、アルバータ州は今年10月に15ドルに引き上げる。ヌナブト準州はすでに13ドル、ノースウエスト準州は12.50ドルとなっている。

オンタリオ州は今年1月14ドルに引き上げ、そして2019年1月に15ドルになる。しかし中小企業にすでにそのひずみが出始めている。同州キャサリーン・ウィン州首相が対策に乗り出すことを示唆した。オンタリオ州では今年6月に選挙が行われる。

 

労働者にとっては朗報も、中小企業には負担増

今回のBC州の発表に意見が分かれている。

労働組合連盟は15ドルに引き上げるまでに3年は時間がかかりすぎると批判。BC州は全国で最も生活費用が高く、このままではますます貧困層が増える一方という。

BC州政府の発表によると、現在時給15ドル以下で働いるのは全体の約20パーセント、少なくとも40万人はいるという。しかも、その約半数が大学やカレッジを卒業している25歳以上と厳しい現実がある。

BC州は不動産価格が高騰し、家賃も上昇、それに伴い生活費もかかる上に、大学を卒業しても就職先が見つからない若者が学生ローンの返済をしながら低い時給で働くという2重、3重の厳しい状況になっている。2021年に時給15ドルになっても最低限の生活費すら補えない状況となっていると予想されている。

一方、中小企業にとっては時給の引き上げは支出に直結する。商工会議所などのビジネス界は、3年で15ドルまで上げるのは急速過ぎると反論している。現在ギリギリで利益を出している中小企業への打撃が大きいと説明。不動産の高騰で固定資産税は毎年上がり、連邦自由党政権の政策で税負担も増える。さらに人件費まで増えたのでは、逆に解雇が増えてしまうと危惧している。

ホーガン州首相は3年後に15ドルとしたのは「遅すぎると思う人たちもいるかもしれないが、中小企業が準備するための期間として設けた」と説明した。

時給15ドルは新民主党(NDP)の選挙公約でもある。2021年に15.20ドルが実現すれば、BC州が全国で最も時給が高い州となる。