トルドー首相が春節イベントで新型ウイルスによる中国系差別を一蹴

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新型コロナウイルスへの不安がカナダ国内で広がる中、ジャスティン・トルドー首相はこの日オンタリオ州トロント市スカーボロー地区で開催された春節のイベントに参加。中国系カナダ人コミュニティに向けられている差別的言動を一蹴した。

トルドー首相は、「不安や誤った情報による差別はカナダでは容認されない」と語り、「そのような差別はカナダ国民が誇りとするものではない」と、中国系コミュニティへの差別的言動について批判した。中国系コミュニティにとっては厳しい年明けとなったと思うが、「カナダ政府はいつも国民に寄り添い、分断行為に対して声をあげる」と語った。

カナダでは2月1日現在で、オンタリオ州トロントで2人、同州ロンドンで1人、ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーで1人が感染したことが確認されている。

入院していたトロントの男性も1月31日には退院し、4人目の感染者として確認された20代女性も症状が軽いため入院はしていない。感染が確認された全員が自宅での経過観察となっている。

春節も重なり中国への渡航者の帰国に敏感に

新型コロナウイルスは中国河北省武漢で昨年に発生したが、今月に入り急激に感染拡大が明らかになった。さらに時を同じくするように1月25日から春節だったこともあり、中国からの旅行者、中国への渡航者が多く移動する時期と重なった。

中国系移民が多いカナダでも中国へ渡航してカナダに帰国した人も多い。

感染したことが確認された4人は全員が武漢を訪問してカナダに帰国していることが分かっている。

こうした状況に国民の過剰反応が目立つようになってきた。

トロントでは、ヨーク地区教育委員会に最近中国から帰国した家族の子どもたちを登校させないように要求する請願書に9000人が署名して提出していたことが明らかになった。教育委員会は、懸念は理解できるがこうした行為は差別を助長するとして「非常に残念」との声明を発表。要求は拒否している。

トロントでは中華街の人通りも少なくなっているという。公共交通機関や学校、職場での差別行為が後を絶たないと伝えられている。

中国系カナダ人コミュニティ代表は、サーズ(SARS)の時を思い起こすとして過敏な反応をしないように求めた。

トロントは2003年にSARSが大流行した時に、国内での死亡者が44人にも上り、アジア以外では唯一死者が出るという苦い経験がある。

この時、中国系カナダ人が差別を受け、登校拒否や雇用拒否も起きたと当時を振り返る。

前回との違いはSNSメディアの存在という。ソーシャルメディアにも中国系やアジア系への差別的な投稿が多くみられる。

連邦政府、州政府保健省はSARSの教訓が今回の新型コロナウイルスでの対応に生かされているとして、カナダでの感染拡大の危険性は低く過敏に反応する必要はないと説明している。

エアカナダ中国への直行便を2月末まで一時運休

カナダ最大の航空会社エアカナダは29日、2月末まで中国への直行便運航を見合わせると発表した。

エアカナダは武漢への直行便はなく北京と上海へ、トロント、バンクーバー、モントリオールから週33便運航している。

30日には一時運休前最後となるフライトが中国から到着した。

エアカナダは影響を受ける利用者には可能な代替便や返金で対応すると発表している。