BC州とアルバータ州がオイルサンド輸送規制で応酬

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ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が1月30日に発表した、オイルサンドの輸送に関する規制で、アルバータ州政府との応酬が続いている。

アルバータ州新民主党(NDP)政権レイチェル・ノッテリー州首相は前日まで、違法だ、違憲だと批判していたが、この日の記者会見では、対抗措置として、アルバータ州が検討しているBC州からの電力購入の契約を白紙に戻すと語った。同州首相によると、この契約白紙でBC州が被る損失額は5億ドルになるという。

ノッテリー州首相は、これが第1歩だとし、まだ対抗措置を取る用意があると語った。どんなことをしてでもパイプライン建設を実現させると語り、そろそろ連邦政府が態度を示すべきだと自由党政権に注文をつけた。

BC州NDP政権はオイルサンド輸送に関する規制の強化について、現段階では、まだ提案だとしながらも、31日にはBC州ジョージ・ヘイマン環境相が、アルバータ州政府が違法だという主張には同意できない、BC州政府には、環境管理法に基づいて、BC州の海岸線や州内の環境を保護する権限があると反論した。

BC州が提案している環境対策への規制強化が実行されれば、現在進行中のキンダーモーガン社トランスマウンテン・パイプライン拡張建設計画がさらに遅れることになる。

 

それぞれの事情

BC州ではパイプライン計画への反対が強く、すでに法的措置に出ている市や団体がある。さらにパイプライン計画中止への努力は、政策協力で合意しているNDP政権とグリーン党にとっては選挙公約でもある。

一方、オイルサンド市場をアジアへと輸出拡大したいアルバータ州にとっては、BC州へのパイプラインは絶対に必要で、すでにノーザンゲートウェイ計画が白紙になった以上、トランスマウンテンまで阻止されてはとの思いがある。

環境問題、経済問題が、両州政府の政治バトルと化しているパイプライン建設計画。両州政府の応酬は収まる気配を見せない。今後は、連邦政府がどういう形で介入するかが注目される。