ケベック州選挙保守系中道右派のCAQが圧勝

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ケベック州の州議会議員選挙は10月1日に投開票され、フランソワ・レガルト党首率いるCAQ(Coalition Avenir Québec)が圧勝した。長く続いた自由党、ケベック党(PQ)政権との決別となった。

CAQが政権を取るのは今回が初めて。自由党かPQ以外の党が政権を取るのは約50年ぶり。前回は1966年に政権を取り1970年の選挙で自由党に負けた右派政党Union Nationale以来。

1日の選挙結果のあとの勝利宣言でレガルト次期州首相は、「我々はすべてのケベック州民の政党だ」と英語で語り、CAQに投票した州民だけでなく英語圏の州民にも呼びかけた

 

 

ケベック州民は政党ではなく「変化」を望んだ

 

前日までの予想ではこれまで政権を担ってきた自由党との接戦になると予想されていた。CAQが勝利するにしても少数派政権の可能性もあるという分析もあった。

しかし結果は、CAQが過半数を超える多数派政権を実現した。

ケベック州は125選挙区ある。投票結果は、CAQが74議席、自由党が32、ケベック・ソリデア(QS)10、ケベック党(PQ)9。

CAQは52議席増やし、QSも7議席増となった。一方で過去約50年間政権を担当してきた2大政党は、自由党が37議席減、PQは22議席減と、大幅に減少。2012年の選挙で勝利して少数派ながら2年間政権を担ったPQは、今回は公式政党としての資格も失った。

逆にこれまでモントリオール地域で3議席しか取れなかったQSが躍進。議席数を3倍以上に伸ばし、モントリオール以外でも議席を獲得した。

ただ得票率は、必ずしも議席数とは比例していない。CAQが37.41パーセント、自由党24.82パーセント。第3党となったQSが最も少なく16.09パーセント、PQは17.05パーセントを獲得している。

毎回争点となるケベック州の独立が今回は争点とはならず、ほぼすべての党が生活に密着した問題の解決を訴え、政策的な目立って大きな違いはなかった。

それでも自由党やPQではなく、CAQが圧勝した背景には、ケベック州民のこれまでとは違う「変化を望んだ」結果だったのではと分析されている。

レガルト次期州首相(61)はエアトランザットの共同創設者で、PQが政権を担っていた時には閣僚をしていた時期もある。CAQを立ち上げたのは2011年。7年で政権政党となった。

 

 

惨敗した自由党、PQ党首は辞任を表明

 

大敗した自由党フィリペ・クイヤード党首は1日、選挙結果を受け党員に感謝の言葉を述べた。

自由党支持者にはモントリオール近郊に多い、しかしケベック州では少数派の英語圏の州民が多い。クイヤード党首は「英語は外国語ではない。英語圏州民もケベック州民だ」と英語圏の州民にメッセージを送った。自由党はモントリオール地域での議席数が多かった。

この日クイヤード党首は当選したが、選挙に負けた責任を取って党首を辞任すると発表した。

ケベック州の独立を党の柱に据えるPQが惨敗したことはこの選挙では象徴的だった。ケベック州独立が争点とならなければ、PQにとってかなり不利な状況となる。結果もやはり厳しかった。

ジョン-フランソワ・リゼ党首もQS候補者に敗れ落選。党首を辞任することを発表した。

 

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