選挙に圧勝したCAQが早速始動、宗教的シンボル着用禁止を示唆

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ケベック州で10月1日実施された州議会議員選挙では、これまでの2大政党、自由党、ケベック党(PQ)ではなく、CAQ(Coalition Avenir Québec)が74議席を取って大勝。約50年ぶりに2大政党以外の党が政権を奪取した。

今回の選挙の特長は、毎回のように争点とされる「ケベック州独立」が選挙争点とはならなかったこと。4党とも政権を取っても、独立を住民に問う住民投票を行わないと宣言していた。

争点となったのは経済問題、移民問題、教育制度、社会保障など、州民の生活に密着しているものが多かった。各党それほど大きな違いはない。そのため、今回CAQが大勝した背景には、州民が変化を望んだ結果と分析している専門家が多かった。

CAQは、これまで自由党政権が削減してきた教育費や社会保障の充実を掲げていた。

 

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中道右派CAQレガルト体制へ始動、宗教的シンボル禁止実行を示唆

 

CAQレガルト次期州首相は2日に早速記者会見を行い、次期政権政党として、教育、社会保障へ力を入れることを公言。移民問題については公約通り年間4万人を上限として受け入れるとした。これは自由党政権時代より1万人少ない。

ただ選挙戦の時には、ケベック州の移民はフランス語を習得することを義務付け、移民して3年後にフランス語とケベック州の価値の試験に合格しなければケベック州から追い出すとする発言については明言しなかった。

公的機関職員が職場で宗教的なアクセサリーを着用することを禁止するとした公約については改めて実行する意思を示した。

これらには、以前にケベック州で着用禁止の是非が議論となった、イスラム教徒の女性が着用するニカブ(目以外の顔と髪をすっぽりと覆うもの)も含まれている。

レガルト次期州首相は「適用除外条項(notwithstanding clause)」を適用しても、実現すると主張した。

「適用除外条項」については、先月オンタリオ州政府がトロント市議会の議席を削減するために適用して問題視された。

 

 

経済強化とカナダの中で存在感を示すケベック州を目指す

 

「ケベック州独立」が争点とならなかった今回の選挙。レガルト次期州首相はこの日も、「カナダの中で存在感を示すケベック州を目指すウィン-ウィンの関係が望ましい」との考えを改めて示した。

連邦政府との関係も強化するという。

まずは、9月30日にカナダ政府が合意したアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)について、クリスティア・フリーランド外相と話し合いを持つと語った。

USMCAではアメリカからの乳製品輸入を増加することで合意している。酪農業が多いケベック州は直接影響を受ける。

レガルト次期州首相は、ケベック州の強い経済と雇用の確保、州民への所得増加を目指すと経済にも力を入れることを強調している。

また今月17日に合法化されるマリファナ使用について、前政権が18歳以上としたのに対し、21歳以上にすることも示唆した。

 

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