首相事務所による元外交官への圧力関与を首相は否定

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ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーを訪問中のジャスティン・トルドー首相は、首相事務所が元外交官に中国問題の発言で圧力をかけたという事実はないと否定した。

この日の記者会見で記者の質問に対し、事務所が元外交官に対して「指導した」ことはないと否定、重要な関係者に政府が定期的に連絡を取っている活動の一環と語った。

首相事務所の元外交官への圧力疑惑は、今月24日に全国紙グローブ&メールが掲載した。同紙によると、元在中国カナダ大使デイビッド・マルローニー氏が外務省ポール・ソーピル副大臣からカナダと中国の関係について公の場で発言する場合には事前に外務省の確認を取るよう要求されたという。

副大臣は首相事務所からの伝言と語ったと言い、マルローニー氏は「不快感を覚えた」と記事の中で語っている。マルローニー氏はテレビ番組に出演した時には、必要でない限り一般カナダ人は中国への渡航を控えた方がいいと発言をしていた。

さらに外務省副大臣からの電話は元在中国カナダ大使ガイ・セント-ジャック氏にもあったと同紙は伝えている。セント-ジャック氏は各局のインタビューに答え、特別に問題だったとは思っていないと発言、外務省と首相事務所間の連絡ミスではないかとの見解を語っている。

セント-ジャック氏は、30日にCBCの政治番組に出演。グローブ&メール紙での掲載後に外務省トップ2人から電話があったことを明かし、外務省には発言を制限する意図はなく表現の自由を尊重していると伝えられたと語った。

番組でのインタビューの中で「外務省トップ2人」の名前は明らかにしなかったが、CBCがそのうち一人はクリスティア・フリーランド外相自身だったと外務省が認めたと伝えた。

現在カナダと中国の関係はこう着状態が続いている。昨年12月にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港でカナダ当局がアメリカの要請で中国通信大手ファーウェイの孟晩舟CFOを拘束して以降、中国で2人のカナダ人男性が拘束されている。

経済関係にも悪化を及ぼしていて、中国はカナダ産キャノーラ製品や精肉製品の輸入を停止している。