BC州地方選挙、バンクーバー市長にストゥワート氏

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2018年10月21日掲載 10月22日更新

 

ブリティシュ・コロンビア州で実施された市町村統一選挙で続々と新人が当選。注目のバンクーバー市長には、無所属ケネディ・ストゥワート氏が当選した。

当選後のあいさつで、市議会とコミュニケーションを取りながら、住宅問題の解決などに取り組みたいと抱負を語った。

次点はNPA(Non-Partisan Association)のケン・シム氏。NPAからは市議の5人が当選した。

しかしシム氏は1000票差以下での次点に。このため、「完全に公式に票が決定するまで敗北宣言はしない」と語り、支援してくれた人々のためにも最後まで戦うと語った。

メトロバンクーバーでは現職が次々と引退を表明し、少なくとも13人の新市長が誕生することが分かっていた今回の選挙。ふたを開けてみるとベテラン市長も新人に敗れる大波乱があり16人の新市長が誕生した。

 

 

大注目のバンクーバー市長選は接戦の末ストゥワート氏が当選

 

選挙前の世論調査ではストゥワート氏優勢が大方の予想だった。しかし開票発表では大接戦に。一時はNPAシム氏がリードする場面もあり、メトロバンクーバーの中でも最後まで決着がつかなかったのがバンクーバー市長選だった。

そして、集計結果は真夜中を過ぎ、ストゥワート氏が49,812票で当選、シム氏は48,828票と、984票差で1000票を切る僅差での当選となった。

当選が発表され支援者の前に姿を現したストゥワート氏は、支援者に感謝し、大胆な公約だが有権者はそれを支持した、できないわけではないと語った。

他の候補者同様、ストゥワート氏の最優先課題も住宅問題だった。解決策として、この先10年で世帯所得8万ドル以下の住民を対象にした非営利目的の賃貸料がリーズナブルな賃貸住宅25,000戸の建設、初めて住宅を購入する人のためのコンドミニアム、タウンハウスなど35,000戸の建設、さらにバンクーバー市にある6,000戸のコープハウジングのリース更新を住宅対策として公約に掲げていた。

「市民と話をすると聞こえてくるのは厳しい現状。賃貸料が上昇し、バンクーバーから引っ越したり、中小企業も苦しい状況を感じていたりしている。こうした状況を見たら、ローワーメインランドの市議たちは住宅問題が最優先課題となるのは当然。バンクーバー市での解決のために尽力したい」と語った。

 

 

 

市議会はNPAが多数派、グリーンが3議席を獲得、ビジョンは惨敗

 

2008年から10年間、市議会の多数派だったビジョン・バンクーバーが惨敗した。これまで市長を務めたグレゴール・ロバートソン氏が市長選への立候補を取り止めて以降、ビジョンは市長候補を擁立することができず、リーダーのいないビジョンは惨敗。市長だけではなく市議でも一人も当選できなかった。教育委員会に一人当選するのが精一杯だった。

一方で、市長選には敗れたNPAは市議では5人が当選、多数派を勝ち取った。さらに躍進したのはグリーン党で3人が当選。現職のエイドリアン・カー市議が69,885票を獲得、市長選を含め最高得票数でトップ当選した。2位もグリーンと得票数ではグリーンが圧倒した。公園庁でもグリーンから3人が当選している。

NPAは市議では現職メリサ・デ・ジェノバ市議がトップ当選。その他には、コープ党新人ジーン・スワンソン氏が4位に入った。ワンシティからも1人が当選した。

 

 

無所属のバンクーバー市長は32年ぶり

 

ストゥワート氏は連邦議会バーナビー・サウス選挙区の元新民主党(NDP)議員で、市長選に立候補するため議員を辞職、無所属で出馬した。

無所属候補がバンクーバー市長に当選するのは1980年のマイク・ハーコート元市長以来38年ぶり。ハーコート元市長が1986年に市長職を離れて以来32年ぶりの無所属市長の誕生となった。

バンクーバー市はカナダでも珍しく党派による選挙が繰り広げられる。今回市議で多数派を取ったNPAは中道右派。ロバートソン前市長の中道左派のビジョンとは反対にあたる。そしてビジョンの政策に近いとされるストゥワート氏はビジョンよりさらに左寄りと言われている。

市長には当選したものの、NPAが多数を占める市議会とどううまく折り合っていくのか、その手腕が試される。