オンタリオ州選挙はPCが圧勝、フォード氏が次期州首相に

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注目のオンタリオ州選挙で予想に反して進歩保守党(PC)が圧勝した。次期オンタリオ州首相にはPC党首のダグ・フォード氏が就任する。

7日に投開票が行われた第42回オンタリオ州選挙。ここまで15年間政権を担ってきた自由党の失速でPCのひとり勝ちと思われた選挙だったが、3月にフォード氏がPC党首に就任して以降、様相が変わった。

選挙戦に突入し、党首討論会が始まると、これまで第3党だった新民主党(NDP)が勢いを増し、選挙日直前には支持率でPCを上回る勢いを見せていた。

しかし、ふたを開けてみると、PCの圧勝。フォード党首は勝利宣言で「全員で勝ち取った勝利。これから州民のためにさらに力を尽くす」と語り、支援者から盛大な拍手を受けていた。

 

選挙結果

進歩保守党(PC) 76議席(2,322,422:40.63%)

新民主党(NDP) 40議席(1,925,574:33.69%)

自由党       7議席(1,103,283:19.30%)

グリーン党     1議席(263,987:4.62%)

 

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紆余曲折だったオンタリオ州選挙

自由党キャサリーン・ウィン党首の不人気ぶりは今年に入る前から伝えられていた。支持率でもPCが自由党を大きくリード。今回の選挙でPCが圧勝するだろうと早くから予測されていた。

しかし、事態はPC前党首パトリック・ブラウン氏がセクハラ問題で辞任してから一変した。

1月に全国ネット局CTVが、ブラウン氏に性的に不適切な行為を受けたという女性2人の告白を放送。もう選挙まで5カ月を切っていたタイミングだった。PCはすぐにブラウン氏に辞任を促し、放送された翌日に辞任を発表。大急ぎで次期党首選に入った。

その当時は女性党首がいいのではと党内外から言われていた。しかし3月に実施された党首選で決定したのはフォード氏。弟で前トロント市長のロブ・フォード氏と2人で、何かと人騒がせなキャラクターで知られ、アメリカのトランプ大統領と比較される人物。この党の決定は、PCの支持率を下げ、自由党に追い風になるのではと思われていた。

その予測通り、PCは徐々に支持率を下げ始めた。独自の選挙戦スタイルを貫くフォード党首に、メディアからも反発が相次いだ。基本政策を最後まで発表せず、自由党、NDP党首からも批判を受けた。それでも自分流を貫くフォード党首のPCはますます支持率を下げた。

そんなPCに対抗する党として台頭してきたのが、予想された自由党ではなく、NDPだった。あっという間にPCに追いつくと、選挙直前には支持率で追い抜くこともあった。PC対NDPという保守対社会の一騎打ちとなった。

しかし、結果はPCの圧勝。野党第一党は予想通りNDPで、自由党は第3党に脱落した。

 

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自由党ウィン党首が辞任を発表、グリーン党から初当選

支援者の前に立った自由党ウィン党首はこの選挙戦2度目の敗北宣言。自身については「若い力にトーチを引き渡す」と声を震わせながら辞任を告げた。

ウィン党首は今月2日、投票日を待たずに敗北宣言を行った。「6月7日以降に私が州首相として立っていることはないだろう」と記者会見で語った。それも自由党に少しでも票が集まるようにとの作戦だった。

しかし結果は7議席。8議席以上の条件を満たせず、公式政党としての資格も失った。得票率が20パーセントを下回るのも自由党にとって今回が初めてという。自由党は歴史的大敗という厳しい現実を突き付けられた。

一方、歴史的選挙となった政党がもう一つある。グリーン党だ。オンタリオ州議会に初めて議員を送ることになった。グリーン党マイク・シュレイナー党首がグエルフ選挙区から初当選。「歴史的な一歩だ」と当選後、支援者に語った。

 

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