カルガリー市が冬季五輪招致に向けて調査費追加

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アルバータ州カルガリー市議会は、2026年冬季オリンピック・パラリンピックの開催都市に立候補するための調査費200万ドルの追加を9-4の賛成多数で可決した。

これまでに500万ドルを費やし、カルガリー招致調査委員会を設置して五輪開催がカルガリー市にとって有益かどうかを調査。その調査結果はこの日までに市議会に提出された。

カルガリー市といえば、1988年にカナダ初の冬季オリンピックが開催された都市。後にディズニー映画「クール・ランニング」のモデルにもなったジャマイカ代表ボブスレーチームが出場したのがこの大会。

競技会場の多くが市街地に近く、スキージャンプやボブスレーなど通常はスキー会場に近い場所に造られる競技施設も市内に設置されるなど利便性が高く、また、カルガリー大学構内に造れたスケートリンク・オリンピックオーバルなども含め、現在でも国際大会や練習に使用されている施設も多い。

今回の招致にあたり競技会場には現存施設の改築を基本としているが、それでも新たに必要な施設は建設することになる。そうした費用と五輪開催での経済効果のバランスが招致に踏み切るかのカギになるとみられる。

今年10月、招致調査委員会は五輪開催費用を46億ドルと試算。そのうちカルガリー市とアルバータ州が負担するのは12億ドルと報告している。ちなみに2010年バンクーバー大会の費用は77億ドルだった。

市民の意見は現在のところ2分しているという。賛成票を投じたカルガリー市ネンシ市長は、カルガリー市だけではなく、アルバータ州政府、連邦政府と、3政府が協力して招致は成功するものと、カルガリー市のみが突っ走ることはないと強調した。

 

IOCが招致候補都市に柔軟な姿勢

国際オリンピック委員会(IOC)は費用や会場使用については柔軟な姿勢をみせている。招致活動や開催費用負担を軽減することも示唆している。すでに発表されたIOCの「ビジョン2020」の一環だ。

最近は招致に乗り出す都市が少なく、ここまで2026年に積極的に興味を示しているのはカルガリーのみ。興味を示していたスウェーデン・ストックホルムやオーストリア・インスブルックは招致しないことを発表した。

莫大な費用が掛かる上に、最近の五輪では経済効果が薄いことが多い。それならば2週間のスポーツの祭典に多額の税金を費やすのではなく、市民の生活に根付いた問題に費やすことを求める市民の声が大きくなってきたことを考慮する都市が増えていることが要因のひとつとなっている。

こうしたことからIOCはカルガリーに期待を寄せる発言を続けている。費用軽減のために既存施設を再使用することを基本路線とすることを強調し、国内で以前にオリンピックを開催したことがある国は、同市内でなくてもその施設を使用できるようにするという。

つまり「バンクーバー五輪の施設を使用することも可能」ということだ。実際にカルガリー市はすでにオリンピック規格を満たさないジャンプ台の代替案としてウィスラーの施設を使用することを打診していると報道されている。

正式な立候補提出の締め切りは2019年1月。カルガリー市は今後も調査を進めるが、正式に立候補するかどうかは今後決定するとしている。

追記

カルガリー以外に招致に興味を示していると言われているのは、アメリカ・ユタ州ソルトレイク市(2006年冬季五輪開催)、ノルウェイ・リリハンメル市(1994年)、日本・北海道札幌市(1972年)は今月22日に日本オリンピック委員会(JOC)と正式な立候補に向けた準備を始めることで合意したと報道されている。

オリンピックは、2018年2月に韓国・平昌で冬季が、2020年8月に日本・東京で夏季が、そして2022年2月の冬季は中国・北京で開催が決定し、アジア開催が続いている。ちなみに夏季五輪は、2024年がフランス・パリ、2028年アメリカ・ロサンゼルスもすでに決定している。