グレイハウンド・カナダ、カナダ西部での運行全面廃止へ

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中長距離バス会社グレイハウンド・カナダが、カナダ西部で運行している路線のほとんどを10月31日で廃止すると発表した。

運行路線が廃止されるのは、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州の全路線とブリティッシュ・コロンビア(BC)州のバンクーバー-シアトル(アメリカ・ワシントン州)間を除く全路線、さらにオンタリオ州北部となっている。オンタリオ、ケベック州の主要路線は影響を受けない。

バンクーバー-シアトル路線は、アメリカのグレイハウンドとボルトバスが運行している。

今回の運行路線廃止に伴い、同社のカナダ雇用者数の47パーセントにあたる415人の雇用が失われる。

 

競争激化で赤字解消は不可能

 

グレイハウンド・カナダ副社長ストゥワート・ケンドリック氏は「残念な決定だと思っている。地方の小さな町で人々が中長距離運行バスを失うことを気の毒には思う」と声明を発表した。

「しかし、問題を抱えているカナダの遠隔地への路線の中でも、特にカナダ西部で顕著となっている。端的に言って、これらの路線を安定的に持続させるのはこれ以上は不可能」と赤字路線を解消する方法がないとしている。

同社の発表によれば、2010年から41パーセント利用者が減少しているという。理由には、政府の補助金による国内・国際的企業の輸送サービスの運行、新しい低価格航空会社の台頭、自家用車の増加など、遠隔地への競争が激化したことを挙げている。

同社は2009年から運行便数などを減少するなど対策を講じている。

 

遠隔地の弱者を直撃

 

ケンドリック氏は、遠隔地への影響などグレイハウンド・カナダの抱える懸念については、これまでに連邦政府、関連州政府に通達してきたと語っている。

グレイハウンド・カナダによれば、今回の運行廃止で約200万人の足に影響がでるという。

今回の決定で最も影響を受けるのは、遠隔地に生活する自動車を持たない人々だと専門家は警鐘を鳴らす。特にカナダ北部の先住民族を直撃すると語っている。

BC州政府クレア・トレヴェナ運輸相は、これから他の輸送サービス会社や民間企業、関係する市町村と話し合いたいと対策を講じる姿勢を声明で発表した。

他の州でも、何らかの対策が話し合われるものとみられている。