BC州政府、カナダで初めて先住民族国連宣言を実施へ

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ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は24日、国際連合で合意された先住民族への権利を守る宣言をBC州で導入する手続きに入ったと発表した。この日の議会で第一段階として法案41が提出され、全会一致で可決した。

国連は2007年9月にニューヨーク国連本部での第61期国際連合総会で、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を決議した。これには先住民族の基本的人権の保障、所有権と文化伝統の保護を保証する内容が盛り込まれた。

この宣言をBC州に導入するというのが今回の法案。先住民族代表らとともに作成された法案41がこの日議会に提案された。この中には、先住民族が有する権利に関係する事象が生じた場合には先住民族の合意を必要とすることが盛り込まれている。

BC州スコット・フレーザー先住民族関係相は、法案は、先住民族への差別をなくすこと、基本的人権を尊重すること、経済的公平性を保証することを目的としていると語った。

可決されればカナダで最初の国連宣言導入となる。2007年国連会議で宣言決議には4カ国が反対した。カナダは、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカとともに反対に回った。

しかし2015年、自由党政権になってカナダでも導入すると発表。2016年に新民主党ロメオ・サガナッシュ議員が動議を提出し、2018年に下院で可決。しかし今年6月に上院で廃案となった。

BC州ジョン・ホーガン州首相は、「この法案は先住民族の権利を基本的人権として尊重している点で非常に重要で、我々はBC州を、先住民族の人々の基本的生活とその他の州民の生活が同じレベルとなる州にしたい」と語った。

この日のBC州議会には多くの先住民族のチーフが揃い、21日の選挙で当選した先住民族出身で無所属のジョディ・ウィルソンレイボルド議員も姿を見せた。

パイプライン建設に影響か?

先住民族の権利を保証する国連決議をBC州が導入することで天然資源産業に影響が出るのではないかとの見方がある。

BC州では現在トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画が進められているが、環境保護活動家らとともに強硬に反対しているのが先住民族だ。

特にパイプラインが通る地域で自治権を持つ関係先住民族らの反対によって、今後のパイプライン建設や天然資源産業に大きな影響が出る可能性があるとの指摘がある。

連邦政府は2016年にトランスマウンテン・パイプライン拡張工事事業を承認したが、2018年に連邦裁判所が環境対策と先住民族への説明が不十分として承認を白紙に戻した。

この時に裁判所に訴えていたのがも環境活動家らと先住民族だった。

アルバータ州やサスカチュワン州に集中している天然資源は、アジアへの輸出を実現しようとする場合、アメリカを迂回するルートを除いては必ずBC州を通らなければならない。

今回のBC州の決定が今後どのような影響を与えるのか注目されている。