カナダのレジデンシャル・スクール

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カナダ政府が支援した寄宿制宗教学校で、先住民族の子供たちを欧州カナダ文化に同化する教育を目的としていた。

1830年代から始まり、1930年頃には全国に80カ所あった。ローマカトリック教会運営が5分の3、英国国教会が4分の1、合同教会と長老派教会が残りを占めた。1925年以前にはメソジスト教会もあったが合同教会が設立されると吸収された。

その多くはカナダ西部4州にあった。最後まで残ったレジデンス・スクールはサスカチュワン州プンニチー(Punnichy)のゴードン・レジデンシャル・スクールで、1996年に閉鎖された。

この150年以上の期間で、レジデンシャル・スクールを経験した先住民族の子どもたちは、ファーストネーション、イヌイット、メティスを含め約15万人と言われている。

先住民族の子どもたちへの再教育が目的とされていたが、実際には彼らの母国語や文化・伝統を禁じ精神的な苦痛を強いたほか、肉体的、性的暴行が日常的に行われていた事実も経験者の証言から明らかになった。

カナダ政府と関係教会は2007年19億ドルの補償を含むResidential Schools Settlement Agreementで合意。

2008年6月11日にはスティーブン・ハーパー首相が公式に謝罪した。しかしこの時、ニューファンドランド&ラブラドール州は謝罪と補償の対象外とした。

ニューファンドランド&ラブラドールには5つのレジデンシャル・スクールがあり、国際グレンフェル協会が3つ、ドイツに本拠を置くモラビア教会が2つを運営していた。カナダ政府は直接関わっていなかったとされている。1979年に全て閉鎖された。

この政策により、カナダ国内の先住民族文化が失われ、先住民族としてのアイデンティティも奪われた傷跡は深く、現在でも色濃くその影響を残している。

また、レジデンシャル・スクールでは約3200人の子どもたちが死亡したことが分かっている。生活環境の悪辣さと不十分な食事による栄養失調が慢性的に続いていたことも明らかになっている。

ジャスティン・トルドー自由党政権は、先住民族との和解 “Reconciliation”を重要政策の一つとして掲げている。

参考資料: The Canadian Encyclopedia “Residential Schools”

ジュスティン・トルドー首相謝罪文全文(英語): CBCニュースサイトより