トロント市長が難民対策で連邦州政府に支援を要請

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オンタリオ州トロント市ジョン・トーリ市長が記者会見を行い、アメリカからの難民対策について言及した。

今回はカナダ最大都市トロントが悲鳴を上げた。トーリ市長はこれ以上の難民受け入れは連邦、州政府の支援がない限り不可能との見解を示した。

トロント市は現在約3000人を受け入れている。このうち200人が子供という。しかし、難民の滞在先として使用している大学の寮を8月9日には大学生のために大学側に引き渡さなければならないため、それに代わる難民の滞在先確保が難しいなどの障害が出ていると語った。

「トロント市が難民を拒否しようとしているわけではない」と市長。「このままではコミュニティセンターなどを難民のために使用する必要が出てくるが、そうなれば一般市民にも影響が出る」と言う。

難民問題を解決するためには一刻も早い連邦政府や州政府の支援が必要でトロント市だけでは財政的にも、人材的にも、限界にきていると訴えた。大学の寮以外にも、モーテルやホテルなどを利用しているが限界に達していると説明した。

トーリ市長はすでに連邦政府に連絡していると語った。自由党政権はアメリカからの難民対策としてオンタリオ州に1100万ドルを支援する発表している。カナダ全体では5000万ドル。ただ現段階では支援はまだ行われていない。

 

引き続き押し寄せるアメリカからの難民希望者

 

アメリカから国境を越えて来る難民希望者が後を絶たない。アメリカでドナルド・トランプ大統領が就任して以降に急増している。国境を越えてカナダに違法に入国してきた難民希望者はすでに3万人を超えている。

カナダではケベック州やマニトバ州で国境を超えてくる難民希望者が多い。しかしその受け入れ先の体制が間に合わないことから連邦政府に支援を求める声が各州政府からこれまでも上がっていた。

ケベック州政府は今年4月には難民のための住居確保が難しいとしてアメリカからの難民に住居提供をしないと発表した。トロント市のこの日の発表によれば、アメリカからケベック州に入国する難民希望者は毎日約400人という。難民としてカナダに入国してくる人々が絶えないのが現状だ。

最も多いのはケベック州で、オリンピック・スタジアムなどを一時的な難民滞在先として利用するなどの対応をしてきたが追いつかないという。

他にはオンタリオ州、マニトバ州でも、多く難民が押し寄せて問題となった。ブリティッシュ・コロンビア州でも少数ながら見られる。

原因はトランプ政権の移民政策で、難民としてアメリカに滞在している人々がトランプ政権の発表した移民政策に不安を感じ、国境を越えてカナダでの難民申請を希望しているケースが増えている。

昨冬には極寒の中、命の危険を顧みず国境を越え保護された難民希望者が凍傷で指を失った姿でそれでもカナダに入国したかったと訴えて話題となった。

カナダとアメリカの間には、第3国協定という難民対策があり、アメリカに難民として入国した場合はアメリカが難民に対して危険な国という認定がされない限りカナダで難民申請できない規則になっている。

しかし違法に国境を超える場合はこの協定が適応されない。そのためわざわざ違法な方法で国境を越えて来る難民が後を絶たない状況が続いている。だた昨年よりは減少している。