ブリティッシュ・コロンビア州でのUberサービス開始は9月16日から

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ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は11日、UberやLyftなどに代表される乗車サービスに対する認可と保険の規則を今年9月16日から実施すると発表した。これで法律上はこの日から乗車サービスが開始可能となる。

乗車サービス事業への申請受け付けは9月3日から。事業開始を予定している業者は、まずは乗客運輸委員会(PTB)へ許可の申請が必要となる。

BC州政府クレア・トレヴェナ運輸相は、これで今秋にも乗車サービスの事業申請ができるようになり今年中にはサービスが開始されることになるとの声明を発表した。

規則が厳しすぎて乗車サービスとして機能が失われるとの声も

BC州政府は事業開始の条件として、運転手にクラス4の免許取得を義務付けることを発表した。

クラス4免許はタクシーやリムジン、救急車両運転に必要な免許で、これでは事実上タクシーと変わらず、乗車サービスの意味がないとの声も上がっている。

BC州の場合、普通免許はクラス5。これまで世界の多くの都市で乗車サービスを展開しているUberやLyftは、普通免許取得者が参加することによってタクシーとは違ったサービスを展開し利用者に受け入れられている。

乗車サービスに参加したい人がクラス4の免許取得必須となれば、そのための費用と時間が必要になる。どれだけの人がそこまでして乗車サービスに参加したいと思うか、運転手が確保できなければ事業として成り立たないとの声もある。

BC州政府はこれに対して、乗車サービスを利用する利用者の安全確保が第一としてこの条件だけは絶対に譲れないとの見解を示している。

その他にも、運転手の犯罪経歴確認や年1回の運転経歴確認も義務付けている。事業主には1乗車につき30セントの手数料と年間5000ドルの認可料の支払いを義務化している。

乗車サービスの代表Uberはカナダ国内では、オンタリオ州トロントやオタワ、アルバータ州カルガリーで事業を展開している。

トロントやオタワでは普通免許所持者での参加が許可されているが、カルガリーでは商業利用に必要なクラス1、2、もしくは4の取得を義務付けている。

BC州政府がクラス4にこだわる背景はタクシー業界

乗車サービス検討委員会では、クラス5での事業展開に前向きな内容を政府に示したが、州政府は断固としてクラス4にこだわった。

理由は利用者の安全を確保するためと語っているが、それ以外にもタクシー業界への配慮がある。

バンクーバーのタクシー業界はこれまで乗車サービス導入に猛反対してきた。政治への強い影響力を持つタクシー業界の猛反対でこれまでバンクーバーでは乗車サービス導入が他の都市と比べてなかなか進まなかった。

しかし、観光客が増加し、深夜遅くまで飲食やエンターテイメントを楽しむ人が増える中で、タクシーの需要が高まっているにもかかわらず絶対数が少ないことから、関係業界から乗車サービス導入の必要性を主張する声が上がってきた。

さらに、絶対数が少ないにもかかわらず乗車拒否などのタクシーサービスに対する不満が利用者から噴出し、乗車サービス導入を避けることができなくなった。そこでクラス4必須となる。

乗車サービス導入は前自由党政権でもなかなか進まなかったが2017年の州選挙前には同年秋には導入するとしていた。選挙に負けたため2017年導入は実現しなかった。現政権の新民主党(NDP)は、労働組合とのつながりが強いことで知られている。

乗車サービス業者へのクラス4義務付けはバンクーバーのタクシー業界から歓迎する声明が出されている。

州政府によると、一般的にクラス5所持者がクラス4取得のために受験すると最初の受験で約60パーセントが不合格となり、約40パーセントは実地試験で不合格になるという。利用者の安全確保という点では確かに一理あるが、再受験義務付けでクリアできるためクラス4取得の義務付けには説得力が欠ける。

今後、どこまで事業者が参入してくるか注目される。