最終戦白星でホワイトキャップス2018年終了、来季へ向け課題山積み

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MFデイビーズへのはなむけに最終戦白星で飾る

 

ホワイトキャップスを巣立つデイビーズの「お別れ試合」となった2018年シーズン最終戦。ホームBCプレースには25,348人が詰めかけ、大きな声援とエールを贈った。

プレーオフ進出をすでに逃しているホワイトキャップスにとって、これが2018年最後の試合となった。

そして、来季からドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンに移籍が決まっているMFアルフォンソ・デイビーズ(#67)にとって、ホワイトキャップスとして最後の試合。

どうしても白星で送りたいホワイトキャップスでサヨナラ弾を放ったのは、デイビーズ自身だった。

 

 

 

デイビーズ、自ら放ったドイツへ旅立つサヨナラ弾!

 

ファンの大声援に応えるように、前半からいい動きを見せたデイビーズは28分、DFナーウィンスキー(#28)から中央右辺りでボールを受け取るとそのままドリブルで上がり、次々と抜きさりそのままシュート。ゴールキーパーの両手を弾いて右隅に決まった。

決まった瞬間、雄叫びをあげたデイビーズ。ファンの大歓声を浴びながら、チームメートに手荒い祝福を受けた。

さらにその3分後。今度は相手ディフェンダーのミスに付け込み、ボールを奪うとそのまま左足でシュート。今季8つ目となるゴールを決め、会場は沸点に達した。これで最後となるカマラとのコンビダンスも披露し、会場は明るい雰囲気に包まれた。

82分にはイエローカードをもらう場面も。これもご愛嬌?MLS最後のイエローカードに会場からはブーイングと笑いが起こった。

そして86分。とうとうその時がやって来た。ホワイトキャップス選手としての最後の瞬間。交代を告げられると、頭上で拍手をして360度のファンに感謝。そして16歳のMFコライン(#54)と交代。ファンの大歓声とチームメートからの祝福に送られバンクーバー・ホワイトキャップスとして最後のピッチを後にした。

結局この2点でホワイトキャップスは最終戦を白星で飾った。試合終了後には、BCプレースを一周してファンにお別れのあいさつ。名残惜しそうに声援を送るファンに手を振って応えていた。

 

 

 

ドイツへの旅立ち、ファンと仲間に送られて

 

ハーフタイムには、これまで一緒にプレーしてきた、チームメートからのメッセージが流れた。他チームに移った選手、最終戦でも一緒に戦っている選手、多くがドイツでの活躍を願った。

中でも最も感傷的に浸っていたのは、今季からホワイトキャップスでともに戦い、デイビーズを弟のようにかわいがっていたFWカマラ(#23)だ。彼の存在があったからこそ、今季のデイビーズは飛躍したと言っても過言ではない。

この日もゴールを決めると、2人でお決まりのダンスを披露。ファンに最後の師弟コンビダンスを見せた。

カマラは、とにかく思いっ切りドイツで暴れてくれることを願っていると語った。何も心配することはない、自分の実力を出し切ればと、すこし寂しそうな表情でエールを贈った。

ファンからは試合中に粋なプレゼントがあった。BCプレースの大画面に映し出された時計が66分になる頃から会場がざわめき始めた。試合に変わった様子はない。会場の拍手は徐々に大きくなりファンが立ち始めた。

そして67分に拍手と声援は最高潮に。大画面にはデイビーズの表情が大写しとなり、この日詰めかけた25000人が総立ち、スタンディング・オーベーションは約1分間続いた。

これはデイビーズの背番号67にちなんだ演出。何もかもがデイビーズのために用意された最終戦だった。

 

 

 

バンクーバーのファンとお別れも、心は常にホワイトキャップス

 

「15歳でデビューして、ファンはいつもサポートしてくれた。契約が決まって、バンクーバーに戻ってきたときにも、ファンがサポートしてくれた」とファンに感謝した。

契約交渉中は、チームと離れる時期もあった。契約が決まり再びファンの前に姿を現したデイビーズを待っていたのは、ファンからの大きな声援だった。この時も2ゴールを決め、ファンを喜ばせた。

しかしホワイトキャップスで出来なかったことがある。それはハットトリック。この日2ゴールを早々と前半で決めた後に狙っていたのかと聞かれ、「ハットトリックを狙っていた」と笑った。まだ17歳。これから何度でもチャンスはあるだろう。

「バンクーバーでの選手生活が終わるのは寂しい」と本音も覗かせた。「すごくたくさんのことを学んだので」。14歳でエドモントンからバンクーバーにやって来てアカデミー入り、これまでずっとホワイトキャップスでやってきた。

家族と離れて久しい。しかしこの日は家族が揃って観戦。「家族が来てくれてすごく嬉しかった。エドモントンからあんまり来ないので」と17歳の表情を見せた。

この後はエドモントンに帰って家族と過ごし、その後チームカナダに合流して、ドイツに旅立つという。「ドイツでプレーできることを楽しみにしている」と最後に笑った。

デイビーズの後に記者会見に臨んだMFテイバート(#31)は、「すっごく誇りに思う(Super proud)」と笑顔を見せた。ドイツ移籍が決まった時も喜んでいた。カナダ代表ではチームメートでもある。

今季最終戦を白星で飾って、「チームにとっても、ファンにとっても、いい日になった」と笑顔を見せた。

 

 

最終戦白星で2018年シーズンが終了、来季へ向け課題山積み

 

デイビーズのお別れ試合を白星で終え、祝福ムードに包まれたBCプレースだったが、今季プレーオフを逃し、課題だけが山積みとなって残ったシーズン終了だった。

結局西カンファレンス8位。プレーオフ圏内の6位までわずか2ポイント届かなかっただけだったが、決していい成績とは言えなかった。

13勝13敗8分、勝ち点47、得失点差-13。ディフェンスを多少犠牲にしてでもオフェンスでカバーするサッカーで失敗に終わった。

来季は新監督を迎える。今季8ゴール、11アシストのデイビーズを欠く。今オフはホワイトキャップスにとって再編への準備となりそうだ。