バンクーバーでバス運転手らがストライキに突入した。
カナダ第3の都市ブリシッテュ・コロンビア(BC)州バンクーバーで、11月1日からストライキを決行したのは、公共交通機関を管理運営するトランスリンク社のバス・シーバスの運転手らによる労働組合ユニフォの組合員。
バスと、バンクーバー・ダウンタウンとノースバンクーバーを結ぶシーバス(旅客用定期船)の運転手らが段階的にストライキを展開していくと発表された。
組合は、トランスリンク社のバス・シーバス部門コースト・マウンテン・バス・カンパニー(CMBC)との労使交渉が決裂したため実力行使に踏み切った。
ユニフォ代表は、11月1日からバスの運転手がトランスリンクのロゴの着いたジャケットを着用しないこと、時間外勤務をしないことを発表。これによりシーバスが、1日には夕方のラッシュアワーの時間帯で毎10分から毎15分に減便した。
これまでのところバスの運行は停止されていない。
CMBCによると組合側は、給与引き上げ、福利厚生の充実、労働環境改善に、10年間で6億800万ドルを要求しているという。また、組合側が組合の要求を受け入れるために、公共交通機関網の拡充計画を遅らせるよう提案していると語っている。
公共交通機関の拡充に影響か
バンクーバーでは、現在公共交通機関網の拡充を図っている。連邦自由党政権が環境対策の一環として公共交通網整備に予算をつけているため、バスやシーバスの増便、スカイトレイン路線の延長などを着々と進めている。
背景には、人口増加とともなう利用者の増加、土地や自動車保険の値上がりにより車を持たない人が増加、環境対策として自動車を都心から遠ざける政策などがある。
メトロバンクーバーの23市長で構成されたバンクーバー公共交通機関の予算を審議する市長評議会の代表ニューウエストミンスター市ジョナサン・コーテ市長は、組合と企業に早急に協議を再開するよう要請した。「ストライキは多くの利用者に悪影響を与えている。特に公共交通機関に移動を頼っている社会的弱者への影響が大きい」と懸念を示した。
コーテ市長は、組合員が公正な協定を要求することは理解するが、利用者が増加し、環境問題への取り組みの一環でもある公共交通機関の充実を進めているこの時期に、サービス拡充を後退させる提案には応じられない、組合側の要求は理不尽との見解を示した。
CMBCは、バス・シーバス運転手に対しては4年で9.6パーセント、メンテナンススタッフには12パーセントの賃金引き上げを提案している。
バス運行全面停止した20年前の悪夢再来の可能性
組合代表ギャビン・マックガリグル氏は、市長評議会も、CMBCも一方的な情報だけを流していると反論した。もし自分たちの要求が受け入れられなければ、運行の完全停止もあり得ると語っている。来週後半にはバスの運行にも影響が出るだろうと言う。
組合は2001年にもストライキを実行した。その時は夏の期間だったが、バスの運行を全面停止。しかもストライキは4カ月以上に及んだ。
結局BC州自由党政権が強制的にストライキを停止して終了させた。
今回はそこまで強硬なストライキとはなっていないが、組合側は全面運行停止の可能性もちらつかせている。
トランスリンクは、ストライキによるバス・シーバスの運行停止情報を事前チェックするよう呼び掛けている。
ストライキ情報はトランスリンクの専用ホームページ https://alerts.translink.ca/ 、もしくはツイッター https://twitter.com/translink で公開している。
現在のところ、協議再開の見通しは立っていない。
スカイトレインの運行はストライキの対象とはなっていないため、通常通りの運行となっている。