トルドー首相、公式連立には否定的

104

総選挙で過半数を取れなかった自由党は少数派政権として2期目を出発することになった。23日、投開票後初めて公式に記者会見を開いたジャスティン・トルドー首相は連立については否定的な考えを示した。

法案によってその時々で意見を同じくする党と協力する方針。

21日の開票直後の勝利宣言では、「国民が我々に新たな任務を与えた」と支援者を前に興奮気味に語ったが、この日の記者会見ではかなり抑えた口調で第2期政権に向け厳しい現実に直面している実感を込めた。

党首は選挙翌日に記者会見を開くのが通例となっている。しかし野党各党の党首が22日に記者会見を行う中、トルドー首相は23日に会見を開いた。

政策で協力できる政党を模索しながらの政権運営

自由党はアルバータ州とサスカチュワン州で全ての議席を失うという厳しい現実に立たされた。

第1期政権では、環境問題に真剣に取り組むと宣言しながらトランスマウンテン・パイプライン拡張計画を承認し、環境活動家や先住民族、若者らが離れていった。そして今回は環境対策を先送りしても天然資源産業復活を優先すべきというパイプライン推進派の両州で1議席も獲得できなかった。これはこの先自由党にとって茨の道が待ち受けていることを意味する。

少数派政権ということで法案可決には野党の協力が必要となる。多くの場面で新民主党(NDP)の協力を仰ぐことになる可能性が高い。そうなれば、NDPがこれまで公約としてきた政策を要求してくるとみられ、大盤振る舞いで借金が膨らむ一方の財政はさらに苦しくなる。

とりあえず、パイプライン建設推進は保守党と、環境対策ではNDPやグリーン党、ケベック連合党と協力という形になるが、NDP、グリーン、ケベック連合はパイプライン建設には反対の立場で、トルドー首相にとって難しい舵取りになる。

まずは組閣。トルドー首相はこの日の記者会見で11月20日に内閣を発表すると語った。

その後、最初に取り組む公約は中間所得層への減税。トランスマウンテン・パイプライン計画の実現も断言した。前途多難な第2期政権の船出に議会再開の日程を明言しなかったことがこの先の厳しさを物語っている。