オンタリオ州ダグ・フォード州首相は7月27日の記者会見で、トロント市の市議を約半分にすると発表した。前日にトロント・スター紙が入手した情報をこの日認めた。
トロント市議は現在42議席で、今年10月22日の選挙に合わせて47議席に増加することを決定したばかり。
それを、選挙区を連邦、州政府の区分と同じにして25議席まで減らすという。
フォード州首相は議席削減について、市が抱える重要な問題への取り組みに議員の多さが支障になっているとし、トロント市議会を「最も機能不全な政治的議場」と痛烈に批判した。
市議が47議席に増加するとさらに機能は悪化すると語り、「市民は政策を実行してくれることを望んでいて、政治家の数には関心がない」とも語った。
州政府の市政介入に、トロント市ジョン・トーリ市長は「余計なお世話」と批判。すでに次期選挙に向けて準備に入っている段階で州首相が干渉するべきではない「試合が始まってからルール変更はしないものだ」と語った。
市議の議席数を変更するためには、州の地方自治体選挙法を改定する必要があるとされている。そうすればトロント市だけではなく州内の市町村に影響する可能性もある。
しかし、中には議席数削減に賛成を表明している市議もいる。賛成派市議は、延び延びになった問題がようやく解決すると称賛している。
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トロント市へのリベンジ?
フォード州首相は、2010年の選挙でトロント市議に当選し、市議を務めた経験を持つ。同じ選挙で弟のロブ・フォード氏がトロント市長に当選した。
ダグ・フォード州首相は、市議時代に弟フォード市長とともに、議員数の削減をすでに提案していた。
しかし2013年にロブ・フォード元市長がガンを発症し治療に専念したため、ダグ・フォード氏は2014年の選挙でトロント市長選に出馬。しかし現トーリ市長に敗れた。
今年の選挙でもトロント市長選に立候補をする予定にしていたが、期せずして進歩保守党(PC)党首選が実施されることになり、PC党首選に立候補を表明。3月の投票で党首に選ばれ、6月の州議会議員選挙でPCが圧勝し、州首相に就任した。
しかし選挙戦ではトロント市議の議員数削減については一切言及していなかった。
そのため、今回の突然の市議半減は市政時代のリベンジではないかとの声も聞こえる。
PCは経費削減を公約としているから当然と語っているが、市議半減による経費削減については、トロント市議のための予算が2300万ドルで、トロント市の予算が130億ドルとそれほど大きな効果はないのではないかとの意見がある。
選挙法が改定されれば、今年10月に実施されるオンタリオ州での地方選挙に影響を及ぼす可能性があるため、この問題はまだまだ後を引きそうだ。
反対派の声は強くなっている。
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