カルガリー市、今日2026冬季五輪招致住民投票へ

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アルバータ州カルガリー市で今日、冬季五輪開催の是非を問う住民投票が実施される。投票時間は午前8時から午後8時(山岳標準時間)まで。投票を管理するカルガリー選挙管理委員会は、70万人が投票に訪れると予測している。カルガリーの人口は120万人。今月6日、7日には期日前投票が実施されている。

カルガリー市は2026年に開催される冬季オリンピック・パラリンピックの招致に名乗りをあげ、国際オリンピック委員会(IOC)から正式に招致へ招待された。

しかし先月末になっても予算配分で、連邦、州、市の間で合意できず、カルガリー市長が直接ジャスティン・トルドー首相に書簡で直談判していたことが判明。2026カルガリー五輪招致委員会(カルガリー2026)が開催予算の減額を提示して、なんとか市議会で招致活動継続が決定されるというドタバタ劇があった。

そのため招致賛成派は、五輪開催の利点を市民に十分に周知させる時間が短いと不満を漏らす。

カルガリー市は1988年に冬季五輪を開催している。それから30年。当時の競技会場として使用された施設をなるべく再利用する予定だが、老朽化は否めず改修工事などの費用がかかる。

賛成派は五輪招致の成功で、こうした施設が再び世界トップクラスの施設へと生まれ変わり、カルガリーを再びウィンタースポーツの聖地とすることができる、経済効果も見込めると主張する。

しかし、カルガリー2026が示した改定予算案では、セキュリティ費用などが削られた。最近の五輪開催で最も多く予算が必要となるのがセキュリティ費だ。

反対派は、2週間のお祭り騒ぎのために市の予算3億9000万ドルを費やすなら、市民のための社会保障などに充てた方が有効的だと主張する。

どの招致活動都市でも起こる議論だ。カルガリー市を含むアルバータ州は2014年に起こったオイルショックからまだ完全に立ち直っていない。新たな経済起爆剤が必要との声もある。

今日の市民による住民投票の結果は、直接に招致継続か、中止かを決定するものではない。あくまでも参考意見として考慮される。しかしこれまで住民投票で市民から「NO」を突き付けられた都市では招致活動を断念している。

連邦政府は、開催に必要な金銭的支援は市民が賛成した場合に約束されるとしている。住民投票の結果、反対が多数となれば招致断念となることは間違いない。

住民投票の結果は、今日の午後10時頃(山岳標準時間)に分かる予定になっている。

 

 

 

消えかかっていたカルガリー2026招致の火をウルトラCで復活

 

カルガリーの五輪招致は上々の滑り出しだった。今年初めから積極的に活動し、4月には対話ステージへ。

その後も、ライバル都市が続々と撤退していく中、カルガリーは招致委員会を立ち上げ、招致準備を進めていた。

10月にはIOCが正式な立候補都市3都市を発表し、カルガリーも含まれた。11月13日の住民投票も予定され、あとは住民に積極的に招致の利点を訴えるだけだった。

しかし、10月27日になってカナダが負担する30億ドルの予算を巡って、連邦政府、州政府、市が予算配分で合意していないことが地元紙の掲載で発覚。住民投票を前に、カルガリー市民の負担分さえ確定していないことが明らかになった。カルガリー市ナヒード・ネンシ市長が市議に招致からの撤退を市議会で決定するよう促すと発言する事態にまでなり、招致はほぼ不可能との見方が広がった。

そこで動いたのがカルガリー2026。30日夜遅くになって突然、州政府とアルバータ州の約束を取り付けたと発表した。カルガリー市の負担額は3億9000万ドルに引き下げられたとメディアに語った。それまでの配分の各政府の主張では、カルガリー市の負担額は8億ドルになる可能性が高く、アルバータ州7億ドルよりも多い負担額となっていた。

結局、この予算配分が功を奏して31日に開かれた市議会では辛うじて招致継続が決定。あとは住民投票で市民の意見を待つことになった。

この予算の変更については賛否両論ある。カルガリー2026は9月に開催費用を52億ドルと市議会へ報告。30億ドルをカナダの3政府が負担するとした。

しかし30億ドルの配分については報告していない。各政府の話し合いによるのだろうが、連邦政府は50/50のルールにより15億ドルを負担する。残りは地方政府が捻出するのが通常だ。

アルバータ州政府は7億ドルを負担すると発表。これ以上は出せないという。となればカルガリー市は8億ドルを負担することになる。これは不可能ということで招致撤退もありということになった。

そこでカルガリー2026が取った対策は予算自体の削減。予算内容を見直し1億2500万ドル削減し、30億ドルとしていたカナダの負担分を28億7500万ドルに引き下げた

結局、連邦政府14億5300万ドル、アルバータ州7億ドル、カルガリー市3億9000万ドル。これでも計算は合わないが、とりあえずカルガリー市の負担分を引き下げることで市議会から招致活動継続の決定を勝ち取った。

これを市民がどう受け止めるのか。今日の住民投票で決定する。