カルガリー市、2026年冬季五輪招致から撤退か?

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アルバータ州カルガリー市が開催を目指している2026年冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動から撤退する可能性が高いことが分かった。地元紙カルガリー・ヘラルドが伝えた。

同紙によると、連邦政府、アルバータ州政府と、予算配分を巡って協議を続けていたカルガリー市だが、折り合いがつかないという。連邦政府から予算を引き出せない場合、カルガリー市としては招致活動から撤退するとの内容の手紙を、同市ナヒード・ネンシ市長がジャスティン・トルドー首相に26日に送っていたと同紙が27日に掲載した。

カルガリー五輪招致委員会(カルガリー2026)が発表した予算によると、大会開催費用は52億ドル。そのうち、30億ドルをカナダの連邦、州、市が負担、残りは国際オリンピック委員会(IOC)やチケット販売などで賄うとしている。

この30億ドルの配分を巡って、3つの政府で折り合いがつかないとヘラルド紙は伝えている。

同紙よれば、連邦政府は17億ドルを支援するという。しかしこれは2026年の価値基準によるもので、これを現在の基準にすると15億ドル。つまり半分を連邦政府が負担する。

ただこれには条件がある。1つは、住民投票で市民の賛成を得ること、2つ目は、州政府と市で残りの半分を捻出すること。

アルバータ州政府は7億ドルを支援するとレイチェル・ノッテリー州首相が明言している。しかしこれ以上の支援はないという。すると残り8億ドルをカルガリー市で負担しなければならない。

同紙によると市は3億7000万ドルを負担する予定で、首相に宛てた市長の手紙には連邦政府からは19億ドルの支援とセキュリティ費用が超過した場合の負担の確約を求めているという。

同紙は29日にも協議が継続され、わずかだが招致への可能性も残っていると関係者のコメントを掲載している。しかし可能性は低いという。

市議会は31日に招致活動のための協議を連邦政府と州政府と続けるかどうかの採決を取る予定になっている。

カルガリー市では11月13日にオリンピック招致の是非を問う住民投票が実施される予定になっている。もし、市議会の決定により招致活動から撤退ということになれば、住民投票も実施されないだろうと関係者は語っている。

もし実施されるのであれば、その前に住民に予算の分担などの詳細を示す必要がある。2週間前になっても公表されていないのは遅すぎるとの批判も出ている。

 

 

 

機密文書がメディアへ漏れ、不満を漏らす市議も

 

カルガリー・ヘラルド紙が26日にネンシ市長からトルドー首相へ宛てた手紙について掲載したことで、市議の間では重要な事柄が市議よりも先にメディアに漏れることに不満を訴える市議もいると一部のメディアが伝えている。

市議には27日に手紙がメールで送られてきたという。アルバータ州政府には金曜日に送られてきたと州政府が明らかにしている。

市議会が置き去りにされているように感じると不満を漏らす市議も。連邦政府との予算の折り合いがつかない場合は、市議会に撤回を促すというネンシ市長だが、市議会自体も今回の件では大きく揺れていることが明らかになった。

 

 

カルガリーが撤退すれば、2026年は2都市対決に

 

IOCは今年10月9日にカルガリー、ストックホルム(スウェーデン)、ミランを含むイタリア3都市共同開催の3つの候補地を正式に招致活動に招待したばかりだった。

IOCは来年1月に正式な招致活動申請を受け付け、同年6月に開催都市を決定する。