カナダ政府は緊急事態宣言のアメリカに追随せず

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カナダ政府は中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けてアメリカが取った対応に追随しないと語った。

アメリカは国内での感染拡大を防ぐためとして、公衆衛生に関する緊急事態を1月31日に宣言。中国への滞在歴がある外国人の入国拒否や中国湖北省を訪れたアメリカ人の隔離などを発表している。

しかしパティ・ハイデュ保健相は31日、アメリカのような宣言をするだけの証拠が現時点でないとして同様の措置は取らないことを明らかにした。

カナダ国内では現時点で感染者が確認されたのは、武漢からの帰国者4人のみで、いずれも軽症で最初のトロントで入院した感染者も含め、現在は自宅での経過観察となっている。

「政府としては我々の対応についても、科学的根拠についても、最新の情報に基づいていると自信を持っている。カナダ国民への危険性は低いとみている」と語った。

武漢からの帰国希望者のカナダ帰国へ準備

カナダ政府は武漢に滞在しているカナダ国籍で帰国を希望している国民のためのチャーター機派遣について最善の努力をしていると語った。

アメリカや日本、イギリスなど、すでに国民を帰国させている関係国が多い中、カナダは1機のチャーター機も派遣できていない。

外務省によると武漢から帰国を希望しているカナダ人は196人という。

メディアやSNSでは、ほかの国の人々は次々と武漢を離れる中、自分たちだけが取り残されていることに不安を感じている国民の声が紹介されている。

ジャスティン・トルドー首相は31日ケベック州モントリオールで記者団の質問に答え、「現在責任を持って実現に向け慎重に準備している」と語り、中国政府の許可を待っている状況と語った。

フランソワフィリップ・シャンパーニュ外相が中国側と交渉を続けているという。CBCによると、外務省は関係家族に、現在中国側はカナダ国籍でカナダのパスポートで中国に入国したカナダ人のみ飛行機への搭乗を許可する予定との状況を説明しているという。政府としてはこの条件について中国側と交渉する予定とシャンパーニュ外相が語っているとも伝えている。

カナダ政府はチャーター機の派遣には、中国側の許可やチャーター機の手配、途中寄港地、帰国してからの対応など、準備が必要と説明している。

チャーター機派遣がいつ頃になるかはまだはっきりしていないと外相は語っている。