カーシェアリングのShare Nowが北米市場から撤退へ

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Car2Go electric Vancouver, BC; Photo by ©the Pacific Post
バンクーバーで走っていたCar2Goの電気自動車。Photo by ©the Pacific Post

ヨーロッパと北米でカーシェリング事業を展開している以前はCar2Goとして知られていたShare Nowが2月末で北米市場から撤退すると発表した。

理由については大きく2つをあげた。一つは世界的な自動車事業の不安定さ、もう一つは北米の運輸事業事情の変化。特に北米市場では、電気自動車への支援が低く、運営経費も高騰しているとしている。乗車サービス(Ride-hailing)との競争激化も要因と説明した。

北米では現在ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーをはじめ、ケベック州モントリオールと、アメリカ・ニューヨーク、シアトル、ワシントンD.C.の5都市で展開。全ての都市で2020年2月29日を最後にサービスを終了する。

この他にも、ヨーロッパでは3都市、イギリス・ロンドン、イタリア・フィレンツェ、ベルギー・ブリュッセルでもサービスを終了する。残ったヨーロッパ18都市でのサービスを強化するとも説明している。

北米最大市場のバンクーバーも終了へ

北米にCar2Goが上陸したのは2009年。バンクーバーでは2011年からで、比較的早くから事業が展開された。その後もバンクーバー市場では事業を拡大し、現在は約20万人が会員登録している北米最大市場のひとつ。

バンクーバー市は路上駐車場の料金をカーシェリング車に限り基本的に無料とすることを決定し協力的な姿勢を見せた。またCar2Goは自動車数を増やしたり、電気自動車を導入したりするなど、積極的な展開を見せていただけに、バンクーバー市場も閉鎖することには驚いた人も多かった。

さらに利用者からすれば今回の発表が、BC州政府が乗車サービスへの承認を出すタイミングと重なっただけに、移動手段の選択肢が増えるはずだっただけに残念なニュースとなった。

バンクーバーではShare Nowの他に、BCAAのカーシェア事業Evo Car Shareと、バンクーバーでのカーシェアの先駆けCo-opsのModo、さらにアメリカのZipcarが事業を展開している。

バンクーバーはカナダでも環境政策に力を入れている都市の一つ。同じく環境政策を重視するモントリオールでは2013年からサービスが開始されていた。

他のカナダの都市では、今回の発表よりも一足早く2018年5月にトロント、2019年10月にカルガリーから撤退している。

Car2goはドイツ大手自動車メーカーのダイムラー社とBMWが手掛けるカーシェアリング会社。従来のレンタカーと異なり、完全会員制でアプリで近くの乗用車を予約して利用する。利用料にガソリン代や保険料が含まれ、規定の駐車場に返却する必要がなく駐車できる路上であればどこでも乗降可能なのが特長。都市部で展開され、自家用車を持たない若者を中心に人気がある。