カナダ、水族館でのイルカやクジラの保有を禁止へ

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連邦議会は10日、国内の水族館でイルカやクジラ類の保有を禁止する法案を可決した。これでカナダの水族館でイルカを保有、飼育することができなくなる。

法案は、野生のイルカを捕獲し保有すること、繁殖させることを禁止。輸出入も禁止する。ただし、救助やリハビリのための保有や、科学的調査、もしくは動物にとって最善と状況と判断された場合に限り輸出入が許可される場合があるとしている。

議会では、与党自由党の他に、野党新民主党(NDP)、グリーン党、保守党の一部の議員が賛成した。

動物保護団体や環境保護団体は今回の決定を歓迎している。

国内ではバンクーバーとナイアガラの水族館のみ保有

現在イルカやクジラを保有しているのは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーにあるバンクーバー水族館と、オンタリオ州ナイアガラフォールズにあるマリーンランドのみ。

マリーンランドは現在約50頭のベルーガ(シロイルカ)を保有しているという。うち2頭はバンクーバー水族館所有のベルーガで、すでにスペインの水族館に輸出されることが決まっている。その他にも、アメリカに輸出する予定のベルーガも5頭いると発表している。

バンクーバー水族館は2018年1月イルカやクジラの保有を断念することを決定した。2017年5月に同水族館のあるスタンレーパークを管轄するバンクーバー市公園庁が、イルカやクジラの保有を禁止する条例を制定したためで、当初は提訴していたが保有をあきらめた。現在はイルカ1頭を保有している。

バンクーバー水族館では2016年11月、飼育していたベルーガ2頭が相次いで原因不明で死亡するという事件があった。これで動物保護団体や保有反対派の声がさらに大きくなった。選挙が近かったこともあり、こうした反対派の声を受け、公園庁が禁止を決定した。

バンクーバー公園庁が保有禁止を決定した時、水族館関係者の中には、バンクーバーで保有を禁止しても、自然に返さず他国の水族館に輸出されるのであれば状況は変わらないとして、それならば海洋生物の生態を熟知しているスタッフのいる自分たちの水族館で保有している方が安全でないのかとの声も上がっていた。

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